
2蔦政 |
まず、江戸通りを渡り総武線のガードを抜けると、堀口ビルの2Fに蔦政(2)のウインドウが見えてくる。
大正ロマンを感じるレトロな喫茶店でひと休み。手づくりコーヒーゼリーか抹茶クリームあんみつでもいただきながら、「幸田 文」の『流れる』でも読んでみる。
『このうちに相違ないが、どこからはいっていいか、勝手口がなかった。』で始まるこの小説は、幸田文が柳橋の芸者置屋に女中奉公した体験をベースに書かれた小説で、当時の柳橋の花街に生きる女性たちと、その取り巻き達を写実的に描いた小説。
当時の柳橋の風情も
『この土地へ来て梨花がいちばんいいと思うのは、よそ土地よりすべて買いもの売りもののカズにみえがないことだった。(中略)それをこの土地はもり蕎麦一ツ持って来い、はいはいと腰が低い。鱈一トきれ、バナナ1本、なんでも一ツが気がねなく通る。どうしてこう一ツが快く通るかといえば、この町をかたちづくる大部分の住人は芸者さんだからである。芸者さんはたとえ一ツ家に大勢いっしょに住んでいても、一家族とは趣きが違って一人一人の集合である。だから一人で稼いで一人でたべるのである。家族の複数が単位でなく一人の経済がいくつも集まって町の基礎をなしているとすれば、いきおい売りもの、買いものは一人分が幅を利かしていて少しもひけめを感じさせないのである。』
のようにいきいきと描かれている。 |